90年代、ポリフェノールが身体にいいと言われてから赤ワインを多くの人が飲むようになりました。何となくいいのはわかっているけれどお酒は苦手、他の食品で摂取できないかと考える方も少なくないはずです。また効能を具体的には知らないという方は意外と多いのではないでしょうか。今回はポリフェノールの効能についてじっくりとご紹介する他にポリフェノールが含まれる食品、さらに摂取量の目安についてご紹介します。
目次
ポリフェノールとは
ポリフェノールは植物が紫外線によってできる活性酸素から身を守るために自ら作り出すもので、ほとんどの植物に含まれ主に植物の種や葉に多く存在しています。ポリフェノールといっても種類は8000以上、カテキン・アントシアニン・タンニンなどは聞き覚えがあるはずです。
含まれる食品
特にポリフェノールが多いのは赤ワインですが、コーヒーも赤ワインに次いで多い食品です。テレビなどでは赤ワインやココアをよく取り上げられますが、これらよりも私たち日本人はコーヒーや緑茶や野菜から摂取しやすいでしょう。日本人に馴染みがある食品を挙げます。
■飲料
コーヒー・紅茶・ココア・ウーロン茶・豆乳
■野菜
ホウレンソウ・ブロッコリー・ゴボウ・ムラサキイモ・大豆・パセリ
■果物
ブルーベリー・柿・バナナ・リンゴ・桃・イチゴ・柑橘類
■その他
チョコレート・シナモン・ゴマ・ウコン・葛(くず)
効能
身体のありとあらゆる不調は活性酸素が関係しています。若さと健康を維持するにはこの活性酸素の増加を抑制させることがポイントでポリフェノールにはその効能があると注目されています。
抗酸化作用
人間も加齢や不摂生などによって鉄と同様に錆びていき、それを酸化と言います。空気中から吸った酸素の一部は活性酸素になります。その酸化力で細菌感染を防いだり生命維持のため様々な器官をサポートしたりするなど大切な役割がありますが活性酸素が増えてしまうと自分の細胞まで傷つけてしまうという特徴をもっており、これがシワや病気の原因のひとつになっています。ポリフェノールは体内の酸化を防止することが判明しています。
■シミの予防効果
体内で活性酸素が増える原因のひとつに紫外線が挙げられます。紫外線を浴びた肌はメラニン色素が生成されるのですが、たくさん浴びてしまうとお肌のターンオーバーが間に合わなくなりシミやソバカスを増やしてしまいます。ある研究で首都圏の成人女性を対象に紫外線とコーヒーポリフェノールの関係を調査したところコーヒーの摂取量が多い人ほどシミが少ないという結果が得られています。
■美白効果
イチゴなどのベリー系に含まれるエラグ酸もポリフェノールの一種で美白効果が期待できることが判明しています。
■白髪予防
紫外線による刺激や加齢で活性酸素が増加するとメラノサイトを傷つけてしまうので毛髪を黒くするはずのメラニンを生成させることができませんが、ゴマに含まれるリグナンは強い抗酸化作用があるので紫外線などのダメージから身体を守ることができます。ゴマは古来より世界中で薬として活用されているほど万能です。
■免疫力の向上
活性酸素の増加を抑制させることで免疫力を向上させアレルギーを予防したり風邪などをひきにくくしたりします。
■思考力の低下を防ぐ
身体のなかでいちばん酸素を必要とする部分は脳ですが、活性酸素が増加すると脳神経にダメージを与え疲れてしまい集中力や判断力を鈍らせてしまいます。ポリフェノールを摂取することで活性酸素の増加を抑制させ脳神経を健全に保つことが可能です。つまり、がんばらなくてはならないときにビターチョコレートを1かけ食べると集中力を維持することが可能なのです。
女性ホルモンの働きを助ける
ポリフェノールの一種であるイソフラボンやゴマに含まれるリグナンは女性ホルモン(エストロゲン)の働きととても似ています。女性ホルモンがどのような働きをするのかというと、新陳代謝を促進させ肌や毛髪のツヤを保ったり骨を丈夫にしたり脳の血液循環を良くしたり自律神経を安定させたり生理周期を安定させたりします。こうやってホルモンの働きをみると女性ホルモンに似た働きをする大豆などのポリフェノールを含む食品を摂取するのが大切であることがわかります。
殺菌作用
■感染症予防
緑茶に多く含まれるカテキンはポリフェノールに含まれるフラボノイド、感染症予防に良いとされ一時期緑茶うがいが流行しましたね。ちなみに消臭作用もありこの緑茶うがいは医師も推奨しています。
■歯周病予防
ココアなどに含まれるカカオポリフェノールには歯周病を起こす菌に作用することが判明しています。
生活習慣病の予防になる
■高血圧予防
ある機関が高血圧で薬物治療を受けていない人を対象に1日6g程度のビターチョコレートとホワイトチョコレートを習慣的に食べることによる身体への影響について調べました。その結果、ポリフェノールを含まないホワイトチョコレートでは変化が見られませんでしたが、ビターチョコレートを食べた被験者では血圧の低下が見られたことから、ポリフェノールを含むビターチョコレートには血圧を低下させる効果があることがわかります。また、蕎麦に含まれるルチンも血管を強化するという報告があります。
■血糖値の上昇を抑制
緑茶に含まれるカテキンには糖質の消化吸収を抑制させる効果があることが判明しています。
■中性脂肪を減少させる
緑茶に含まれるカテキンには血中コレステロール値を低下させる効果があることが判明しています。中性脂肪が増加する原因は運動不足と食べ過ぎです。積極的に身体を動かすことが大切ですが、緑茶の効果を利用しましょう。
眼精疲労の回復
仕事でパソコンを操作するのは当たり前だし、プライベートでもスマートフォンに依存する私たちは日々眼精疲労と戦っています。CMでおなじみのブルーベリーに含まれるアントシアニンは眼精疲労や涙液分泌量を改善することが判明しています。
ダイエット効果
コーヒーに含まれるコーヒークロロゲン酸は血糖値の上昇を抑制させる効果と脂肪燃焼効果があります。
ガン予防
まだはっきりとしたことはわかっていませんが、コーヒーにはガンを発生させるとされている胆汁酸の濃度を抑えることが判明しており、コーヒーを飲む習慣がある人はコーヒーを飲まない人よりもガンを患うリスクが低いとされています。
摂取量の目安
1日の摂取量の目安をご紹介します。
■赤ワイン
赤ワインにはレスベラトロールやタンニンなど多くのポリフェノールが含まれていますが、摂取量を無理に増やす必要はありません。1日2杯程度にしましょう。
■コーヒー
コーヒーの効能が期待できるからといってもカフェインが含まれているので過剰摂取はひかえるべき、1日3杯程度にしましょう。
■緑茶
カテキンを引き出すには80℃以上のお湯で緑茶を作るようにしましょう。1日に7杯飲むと血糖値が下がったという報告がありますが、コーヒー同様にカフェインを含むので飲み過ぎは禁物、食事の後や休憩時にちょこちょこ飲む感じ良いでしょう。
■ゴマ
抗酸化作用の強いゴマは10g程度、煎って表皮をはがしてからお米やおかずにかけると美味しく食べることができます。
■チョコレートやココア
チョコレートはビターがおすすめで2かけ程度、ココア飲料は1杯程度で十分です。
■野菜や果物類
ゴボウは水溶性食物繊維で腸内環境を整える役割も担いますが摂取量が多いからといって効果が得られるとは限りません。それはきのこや豆類など不溶性食物繊維と合わせてバランスよく摂取しないと便秘などを引き起こし逆に腸内環境を悪化させるからです。果物も含まれる糖質に注意が必要、食べ過ぎは太る原因になります。たくさんたべるというよりバランスを重視しましょう。
過剰摂取は意味なし
ポリフェノールの抗酸化作用は数時間で消滅するデリケートな成分なので過剰摂取は意味がありません。効能を得るための摂取量はご紹介した目安くらいで十分、身体の酸化防止や健康維持の補助としてつまむ感覚で良いでしょう。