ワインには「ポリフェノール」という成分が豊富に含まれていますが、これにはどんな効果があるのでしょうか。またポリフェノールがたくさん入っているワインとそうでないワインを見分けるにはどうすればいいのでしょうか。今回はこれらの情報とともに、ワインを健康的に飲むコツを紹介していきます。
目次
ポリフェノールってそもそもなに?
ポリフェノールは植物が光合成を行うときに生まれる物質です。植物にある苦みや渋み、暗い色素などを作っており、これがあるからこそブドウには苦みや渋みがあります。
植物にとっては虫や動物からの攻撃や、紫外線などで生まれる活性酸素の毒を消してくれる働きがあり、植物が自らを守るための物質としての役割もあります。「動物より植物のほうが長生き」だともいわれていますが、これにはポリフェノールの抗酸化作用と外敵から守る作用による部分が大きいです。
ポリフェノールにはどんな健康効果があるの?
抗酸化作用
「活性酸素」を人間の体が取り込むと、血管や細胞を傷つけ、私たちの体をさびらせてしまいます。このサビが増えると体は老け込んでしまい、病気になりやすい・見た目が老けている体になってしまいます。
ポリフェノールにはこの「酸化」を防ぐ効果があり、アンチエイジング効果があります。その結果病気になりづらい体になれたり、ケガや骨折しづらい体になれたり、実年齢より若い見た目になれたり、より長生き・長く若々しい体をキープできるようになります。
アレルギーの改善
そもそもですが、アレルギーはウィルスや細菌などに、体の免疫システムが過剰に反応し、何かしらの症状が出る現象を現します。
免疫はなければすぐに病気にかかってしまったりするので、あったほうがいいですが、アレルギー症状が出やすくもなるので、バランスが大切です。
ポリフェノールにはアレルギーの原因となる物質を感知する能力を下げてくれる効果があり、アレルギー症状を少しでも減らしてくれます。
脳の活性化
ポリフェノールには脳を活性化する効果もあります。近年の研究で「BDNF」が脳を活性化するとわかっていますが、ポリフェノールにはこれを増やす効果があります。ポリフェノールが脳の血流を増やし、BDNFを含む血流を増やすことで、認知機能が高まるのです。
お酒というと「飲むと脳が萎縮する」「認知症になりやすくなる」(※実際に「アルコール性認知症」という病気が存在します)というイメージがありますが、脳にいいと聞くと、安心して飲めますね。
もちろんいくら健康によくても飲みすぎると脳の萎縮を引き起こしたり、アルコール中毒になって認知症になりやすくなったりするので、飲み過ぎには注意ですよ。
ポリフェノールがたくさん入っているワイン/そうでないワインを見分けるには?
なるべく赤ワインを選ぼう
白ワインより赤ワインの方が多くポリフェノールが含まれています。ブドウの中でも、ポリフェノールが多く含まれているのは皮と種の部分です。赤ワインはその部分も使いますが、白ワインはその部分を捨てるので、ポリフェノールが少なくなっています。
ただし白ワインに入っているポリフェノールは、少ないですが分子が小さいので吸収性が良いので、息抜き程度なら飲んでみてもいいでしょう。また白ワインを選ぶときはタルに入っているものを選ぶと、よりいいでしょう。
ポリフェノールの量は使っているブドウの品種で違う!
実は入っているポリフェノールの量は、使っているブドウの品種に左右されます。もっともポリフェノールが多く含まれているぶどうの品種は「カベルネ・ソーヴィニヨン」で、その次は「ネッビオーロ」、以下は「ピノ・ノワール」「メルロー」、「シラー」、「ガメイ」が続きます。
白ワインは全体的にこれより少なく、もっとも多い「リースリング」でも赤ワインには負けます。また甲州やプルミントも白ワインの中では多いですが、赤ワインには負けます。
なのでポリフェノールを摂取するなら「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「ネッビオーロ」を使っているワインを選ぶといいでしょう。
「ブドウ果汁を使っている」ワインは避けよう
安いワインは本来ブドウを収穫してくだいて、発酵・熟成するところをブドウジュースを発酵・熟成することで、ブドウのコストを抑えて安くしています。
最近では発酵・熟成技術の進捗でブドウを収穫したワインと変わらない味を作れるようになっていますが、栄養成分的にはブドウジュースを使っている分変わってしまいます。
ジュースと本物のブドウではポリフェノールの量が違い、もちろんブドウの方がポリフェノールが多いので、ジュースから作られたワインは避けましょう。こういったワインにはラベルに「ブドウ果汁を使っている」ことが書かれているので、よくチェックしておきましょう。
高いからといって健康効果が高まるわけではない
ワインの値段が高いからといって、健康効果が高まるわけではありません。そもそもワインの値段は、需要に対してどれだけ供給がないかで決まります。なので希少価値が高ければ高いほどワインの値段は上がりますが、希少価値が高い=健康効果があるわけではありませんよね。
また熟成期間が長いほどポリフェノールの量が増えるのも、熟成期間が長いほど値段が高くなるのも確かですが、熟成期間が短くてもブドウの品種がよければ、ポリフェノールはある程度含まれています。
ワイン好きでワインで健康になりたいという人は、ブドウの品種に気をつけて選んでみましょう。
ポリフェノール以外にも健康的にワインを飲みたいなら心がけたいこと
飲み過ぎには注意
ワインはおいしく、上手に飲めば健康促進にも使えますが、飲み過ぎには気をつけましょう。毎日飲む場合、1日あたり「180ml」が適切量です。
この量だと、厚生労働省が推進している国民健康作りプロジェクトの「健康日本21」で決められている、「節度ある適度な飲酒」のアルコール摂取量の目安である1日20gぐらいになるので、ちょうどいいでしょう。
また週2日は「休肝日」を作りましょう。お酒を飲むと中性脂肪が溜まり、胃や腸などの消化管の粘膜も乱れてきますが、これらを修復するためには週2日は休肝日が必要です。週2日といっても、「5日連続で飲んで2日休む」のではなく「2,3日飲んで1日休む」ほうがいいでしょう。
アルコール依存症に注意
ワインに限らず、お酒を飲む人はアルコール依存症に注意しましょう。アルコール依存症は強く「お酒を飲みたい」と思ったり、お酒を飲まないと手の震えなどの離脱症状が現れる病気です。
そのまま放置するとアルコールで苦しむ期間が長くなるほか、悪化すると切れやすくなったりして人間関係が破綻して社会的信用を失うかもしれません。
アルコール依存症は精神科で治療できますが、アルコール依存症になると本格的に治療を受けなければならなくなるので、アルコール依存症だけは気をつけましょう。
予防するためには、「お酒を飲み過ぎない」ことと「休肝日を作る」ことが大切です。もし休肝日を作ろうとしてもお酒を求める場合、アルコール依存症の疑いをかけたほうがいいでしょう。
ポリフェノールには健康効果があるけれど飲み過ぎ注意!
ポリフェノールにはさまざまな健康効果がありますが、ワインの場合飲み過ぎるとかえって病気を引き起こす原因になります。なので飲み過ぎには気をつけながら、ワインで美味しくポリフェノールを取りましょう。