プリン体フリーのビールでホッとするのは、尿酸値が気になる男性がほとんどでしょう。
尿酸値が高くなると、痛風を発症するリスクが高くなるので、尿酸値に影響するプリン体を多く摂り過ぎないように注意する必要があるわけです。
痛風と言えば、オジサンの病気というのが今までの常識でしたが、今は女性にも痛風が増えているというデータがあります。
女性もプリン体には注意した方が良いのですが、プリン体を多く含むのはビールだけではなく、健康に良いと言われる納豆にも多く含まれるというのです。
毎日の食生活を見直さないと、痛風患者になる女性が今後はもっと増える恐れがあります。
目次
プリン体とはどんなものなのか
プリン体というものが、尿酸値に影響することはなんとなく知っている人も多いと思いますが、具体的にプリン体がどんなものなのかまでは、知らない人の方が多いと思います。
プリン体は痛風の原因になるワルモノとして扱われることもありますが、それは大きな誤解なので、正しくプリン体について知っておきましょう。
プリン体は、細胞の核になる核酸の主成分にあたります。人間の体は数多くの細胞で作られていますから、プリン体はもともと体内にも存在しているものです。
そして、プリン体は体の中で作られていますから、食事でプリン体を摂取する必要はそれほど重要ではないのです。
プリン体が作られるのは、細胞が代謝されたり、運動によって作られるものです。
プリン体と尿酸値の関係
プリン体を多く含むものを食事によって摂ると、どうして尿酸値が高くなってしまい、それが原因で痛風になるのかは、プリン体の正体を知っただけではわかりません。
尿酸値が高くなるのは、血液中の尿酸が増えるからですが、尿酸はプリン体が肝臓で分解される段階で作り出されるものです。
プリン体は細胞の生まれ変わりで作られるので、細胞の代謝による副産物、悪く言ってしまえば尿酸は細胞代謝による老廃物なわけです。
ビールや納豆など、身近な飲料や食品にはプリン体が含まれるものがとても多く、普通の食生活だと思っていても、プリン体の摂りすぎになってしまう恐れも潜んでいるのです。
尿酸は、尿と一緒にカラダの外に排出されるものですが、多くなると血液の中で結晶化してしまい、その結晶化された尿酸は関節に溜まりやすく、それが関節の炎症の原因となります。
痛風の痛みは、「風が当たっても痛い」というほどツラい痛みなので、一度でも痛風を経験するとビールや納豆以外でもプリン体を含む食品について敏感になってしまいます。
ビールはホントにプリン体が多いのか
ビールはプリン体が多いアルコールの代表のように言われていますから、メーカーも「プリン体フリー」のビールの開発に励んでいます。
ビールに含まれるプリン体は、100mlに5㎎~11㎎です。ほかのアルコールと比べてみます。
・ワイン 0.39㎎
・日本酒 1.21㎎
・ブランデー 0.38㎎
いずれも100mlに含まれるプリン体の量ですから、確かにビールは一般的なアルコール類の中ではプリン体の含有量は高いです。
でも、ビールに含まれるプリン体の量は、ご飯の半分以下なので、ビールだけ控えても、尿酸値を下げるためには不十分です。
納豆はプリン体を多く含む食品
納豆といえば、健康にも良い影響を及ぼす食品ですから、毎日食べた方が良いと思っている人が多いはずなのに、尿酸値が高くなり、痛風が懸念される場合は、納豆を控える方が良いと言われています。
納豆に含まれるプリン体の量は100gあたり113㎎です。このプリン体の量は、牛肉や豚肉などと比べると30㎎~40㎎程度高いのは間違いないです。
ですが、市販の納豆は1パック50g程度なので、1パック食べるくらいではプリン体の摂りすぎにはなりません。
すでに痛風の症状が出ていたり、尿酸値が高値で医師から食事の指導を受けている場合は納豆も控える必要があると思いますが、とくに尿酸値に異常がないのなら、納豆の健康効果の方がメリットになるので、むやみに控える必要がありません。ただ、1日何パックも大量に納豆を食べるのはやめた方が良いでしょう。
女性がオジサン化しているのが原因?
痛風は、圧倒的に男性に多い病気です。20年以上前のデータですが、痛風患者の男女比率では、男性が98%~99%を占めていました。
0.2%にも満たない女性の痛風患者でしたが、現在は10%以上も女性の痛風患者が増えています。
2004年の段階で10%に達しているのですから、今はもっと増えているかも知れません。
その原因として考えられるのは、女性がオジサン化しているという意見もありますが、それよりも女性ホルモンに影響されていると考えられます。
女性に痛風が少なかった理由
今まで女性に痛風患者が少なかった理由は、女性ホルモンのエストロゲンが尿酸の排出を助ける作用があるからです。
同じ食事をしていても、尿酸が高くならないのはエストロゲンの働きがあるからなんです。
ところが、女性ホルモンは年齢とともに減少していきます。急激に減少するのは40代からです。
40代の女性は男性と肩を並べて仕事をしている人も多くなっていますし、昔とは女性のライフスタイルも変化しています。
仕事帰りにビールを飲んで、プリン体を多く含む食べ物を酒の肴にする女性も珍しくありません。
そのような女性の生き方の変化が、尿酸値にも影響しているのではないでしょうか。