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サーチュイン遺伝子で若返るのは嘘だった!

投稿日:2017年6月18日 更新日: 695 views

「いくつになっても20代と同じように若々しい外見を保ちたい」「身体の衰えを防いでいつまでも元気に長生きをしたい」…。

これは、古今東西多くの人々の変わらぬ願いだと思います。

日本は現在世界随一の長寿の国になっています。女性の平均寿命は86.39歳で世界一、男性の平均寿命も79.64歳で世界4位です。

平均寿命が延びる一方、少子高齢化が進み、日本は世界でも類を見ない超高齢化社会を迎えています。65歳以上の高齢者が全国で2958万人を数えるようになり、人口に占める割合は23%を超えています。誰もが長生きできるようになった超高齢化社会で大事なのは、暮らしを楽しみながら地域や社会とのかかわりがもてる毎日を送ること。介護などに頼らず、自立した生活が送れる健康寿命を延ばすことです。

若返るとか寿命が延びるとかいうと夢物語の様に聞こえますが、2011年に放映されたNHKの「あなたの寿命は延ばせる~発見!長寿遺伝子」という番組でヒトには老化にブレーキをかけて寿命を延ばす仕組みがある事が分かったと紹介されて反響を呼びました。その鍵を握るのが「サーチュイン遺伝子」。老化を遅らせて寿命を延ばす働きを持つ長寿遺伝子です。

このサーチュイン遺伝子は、寿命を延ばすのみならず、肌など自分の外見の見た目を若々しいまま保ち、よりアクティブに動けるよう体の運動能力を若々しく保つ働きがあり、誰の身体にも存在しているので、ちょっとした心がけ次第で活性化させることが出来るといわれていましたが、最近の研究でこれが嘘であることが分かったのです。

今回は、サーチュイン遺伝子について詳しくみていきたいと思います。

サーチュイン遺伝子とは?

それではまず、サーチュイン遺伝子がどういうものなのかみていきましょう。

誕生日を向かえるごとにみんな公平に1歳ずつ年をとります。けれど、同じ30代なのに40代に見えるほど老けているヒトがいるかと思えば、肌がつやつやで顔色もよく20代に見えるタイプもいます。

老化は万人に起こる自然な現象。病気ではありません。オギャーと生まれてから20歳前後までヒトは上り坂を登るように成長を続けます。そして20歳前後の峠を越えてからは、長い下り坂を下るように心身が衰えます。これが老化ですが、その進み具合には個人差が大きいのです。

それでは、老化が早く進むタイプと、老化にブレーキをかけて若々しさをキープしているタイプの違いは何処にあるのでしょうか。

何が老化の進み具合を決めるのか。多くの専門家が研究を重ねてきましたが、今から5年前に大発見がありました。それがサーチュインという長寿遺伝子の発見です。遺伝子は顔かたちなどを決めているからだの設計図ですが、老化の進み度合いもまた遺伝子が左右していたのです。

肌、髪の毛、筋肉、骨、血管、消火器、脳・・・。頭のてっぺんからつま先まで、サーチュインは全身の老化にブレーキをかける働きがあるとされています。

けれど、「サーチュインという遺伝子を持っているヒトは若々しさが保てるが、サーチュインをもっていないヒトは老けやすくなる」というわけではありません。サーチュインは限られたヒトのみが持っている特別な遺伝子ではなく、全てのヒトが平等に持っている遺伝子だとされているのです。

このように、サーチュインは誰もが持っている遺伝子なのですが、その働きぶりには個人差があるといわれています。その差が30代でも40代に見えるほど老化が早く進むタイプと、30代でも20代に見えるほど老化が遅く進むタイプの違い。つまりサーチュインがしっかり機能して働いている人は、同世代の他の人と比べてより若々しさがキープできていますし、働きが悪い人は老化が進みやすくなってしまうのです。

カロリー制限がサーチュイン遺伝子を更に活性化させる!

では、どのようにしてサーチュイン遺伝子の働きをよく出来るのでしょうか。

サーチュインに限らず、遺伝子は単に持っているだけではダメだとされており、ご利益を得るにはそのスイッチをオンにする必要があります。

遺伝子とは、身体の細胞が備えている人体の設計図です。2003年、人の遺伝子の配列が全て解明されたことで、病気と遺伝子との関わりがよくわかるようになってきました。

人には、およそ2万3000種類の遺伝子があると言われていますが、全部のスイッチが入っているわけではありません。サーチュインも、そのスイッチをオンに出来る人だけが長寿遺伝子の恩恵が得られるのです。

通常、サーチュインのスイッチはオフになっており、そのスイッチをオンにすることが出来たら、老化を遅らせて長生きすることが可能になると言われています。

では、サーチュインをオンにするにはどうしたらよいのか?それは意外にも、誰でも出来るとっても簡単な方法。摂取カロリーの制限でした。

多くの方は少なくとも1回はダイエットをした経験があるでしょう。体型に気を使う女性の中には「年に数回はダイエットをする」という方もいらっしゃるかもしれません。このように身近なダイエットですが、実は摂取カロリーを抑えることは、体重を減らすだけにとどまらず、サーチュインを目覚めさせて老化を遅らせる効果があったとされていました。このとき、「カロリー制限はアンチエイジング効果が科学的に証明された唯一の方法である」と世界的にも認められていたのです。

カロリー制限と老化の関係を最初に報告したのは、アメリカ・コーネル大学のクライブ・マッケイ博士。1935年のことです。マッケイ博士は摂取カロリーを35%減らしたマウスでは、寿命が2倍近く延びることを見出しました。

マッケイ博士の大発見はしばらく世間から忘れ去られていましたが、1980年にスタートしたある実験でカロリー制限は再び脚光を浴びることになります。

それが、アメリカ・ウィスコンシン大学で現在も行われている実験で、その成果は2009年になって発表されて全世界にセンセーションを巻き起こしました。

日本でも2011年にNHKのテレビ番組でサーチュイン遺伝子の発見について特集されたことをきっかけに、カロリー制限をすれば長生きになると話題になり、様々なダイエット方法が誕生しました。

では、実際にウィスコンシン大学で行われた実験がどういうものだったのか詳しく見ていきましょう。

 20年以上続く実験で若返り長寿遺伝子を発見!

ウィスコンシン大学のグループは80匹近いアカゲザルを20年以上も飼育して、カロリー制限のアンチエイジング効果を確認しています。

アカゲザルとは、アフガニスタン、インド、中国などに分布しているサルで、平均寿命は26歳前後です。実験では大人のアカゲザルを2つのグループに分けて、一群では通常必要とされるカロリーを与えたのに対して、もう一群ではえさの中身(栄養バランス)を変えずに量を30%減らしたカロリー制限食で飼育しました。

その結果、実験を始めて22年が経過して通常食グループのサルはおよそ半数が死んだのに対し、カロリー制限食でサーチュインがオンになったと考えられるサルはまだ8割が生きています。

単に寿命が延びるだけにとどまらず、カロリー制限食で飼育されたサルは、通常食のサルと比べて若々しく健康になりました。

2匹のサルは共に24歳。人に例えると75歳くらいのおじいちゃんです。

通常食で年を取ったサルは毛が抜けて皮膚がだらしなく弛み、背中もすっかり丸まっており、年相応のおじいちゃんに見えます。一方で、カロリー制限を続けたサルは、同じ年齢なのに毛がふさふさでツヤがあり皮膚にも張りがあります。背筋はピンと伸びており、若々しくてとてもおじいちゃんサルには見えません。

違いは外見だけにとどまりません。通常食で年を取ったサルの脳を調べてみると、脳を構成している神経細胞が死んで脳がスカスカになっていました。ところが、カロリー制限食をしているサルでは、神経細胞が長生きになり、年をとっても脳がスカスカになっていないのです。さらに、ガン、心臓病、糖尿病と言った病気の発症率も低く抑えられたと説明されていました。

サーチュイン遺伝子を活性化させても老化を防ぐことは出来ない!

しかし、この話には続きがあり、ウィスコンシン大学の発表があった後、2011年9月にイギリスのAFPが「ロンドン大学ユニヴァーシティー・カレッジの研究チームが、コレまで行われてきたサーチュイン遺伝子で寿命を延ばすという実験結果には大きな欠陥があると発表した」という記事が掲載されたのです。

その記事を簡単にまとめたのがコチラです。

1.線虫やショウジョウバエにサーチュイン遺伝子を投与すると寿命が最大で50%延びたとされる実験結果を受けて、過去、多くの研究チームが追試を行ってきたが、効果が現れなかった。

2. ロンドン大学ユニヴァーシティー・カレッジの研究チームは、ウィスコンシン大学と同じように動物にカロリー制限をさせてサーチュイン遺伝子の増減に変化があるのか実験・調査を行ってきたが、その結果若返りにはサーチュイン遺伝子ではなく別の遺伝的要因に由来することが分かった。

この研究結果からサーチュイン遺伝子を活性化させても若返るわけではなかったことが分かります。しかし、ここで勘違いしてはいけないのがサーチュインというものは、きちんと存在しているということ。サーチュインは、元来、細胞内の老廃物を処理する為の働きがあります。これがいつの間にか、進化の過程で老化を遅らせる機能をもち、人の遺伝子にも組み込まれるようになったと嘘の情報が出回ってしまったのです。

老化の原因は活性酸素!?

そもそも老化とはどうして起こるのでしょうか。

まず老化の原因として第一に挙げられるのが、活性酸素です。

私たちは酸素がないと生きていけません。酸素は空気中に20%ほどの濃度で含まれており、呼吸を通じて肺から体内に取り込んでいます。ところが、体内に取り入れた酸素のうち、1~2%は活性酸素に変化します。この活性酸素は加齢と共に増えていき、さらに、現代の様に騒音などの物的ストレス、人間関係などの精神的なストレスに常にさらされていると、ストレスによって活性酸素の発生量が増えます。

こうして、活性酸素が増えていくことで老化が進行し、皮膚のシワなどが増えていきます。この活性酸素を抑えるためには、きちんと栄養の取れた食事を1日3食取ることが大切です。カロリー制限をしてしまっては余計に活性酸素が増えてしまい老化が進んでしまいます。

テレビなどのメディアで多く取り上げられてきたサーチュイン遺伝子。

しかし、それが嘘であったとしても一度広まってしまった情報を変える事は難しいです。嘘の情報を信じ、「飢餓状態になると人間は若さを取り戻し長寿が約束される」と言う間違った食生活に切り替えた人は、身体の具合が悪くなったと言う報告もたくさん受けています。「昔の人は粗食だったからメタボとは無縁で、健康で長生きだった」などと間違った情報に洗脳されている人たちに、これからも正しい情報を提供していき、間違いのない知識を共有していきたいと考えています。

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